、』

一定の温度を持った声の主よりも随分細い手を掴み引く。 唐突の引力に言葉を出せないでいるが、はっきりと驚きの表情を浮かべたはポスンとゾロの膝の上に腰を下ろした。 強引だが、一歩引いた彼女の行動には丁度良い。 膝に乗ったの柔らかな曲線を描く腰を引き寄せ、 額に口付けて、頬にも続く。そして耳にももう一度優しく愛を落とし揺れる瞳を覗き込んだ。

『・・・えっと、ゾロ。もしかして子ども扱いしてる?』
『は?』

見惚れるような視線を送っていたゾロに、は小さく声を漏らした。 そして何処か他所を見ながら、口を尖らすような表情を作る。 の言葉に、ゾロは首を傾げた。自分はを子ども扱いしているつもりは毛頭無い。 膝の上に座るは誰が見ても大人と認識するだろうし、口を開いたって頷くほど頭も良い。 そもそも自分は子供になど興味は無いし、子供らしい大人だって趣味ではなのだが彼女は何を考えているのか。 疑問に首を傾げながら様子を伺っているとは小さく息を吸い込んだ。

『私、・・・顔が熱いわ』

そう言ったは両頬を隠すように手で覆う。 いちいちゾロの行為に対し驚いたり顔を赤らめたりしているのが子供のような反応だと、気にかかっているようだ。 そんなを見て、ゾロはふ、と笑みを零した。

『ほら、やっぱり』
『違う』

は自分が言ったとおりだ、と眉を下げてゾロを見たが、 勢いに振り向いた二人の距離が思いの他近かった事に気がつきまた顔を赤らめ視線を逸らす。 大きな手と逞しい腕に囲まれては逃げようもない。 顔だけでも見られないようにと俯けば、顎に手を沿え無理矢理顔をあげられた。

『ゾ・・・』
『見せてくれよ』

余計な言葉は紡がせない。ゾロはの顔が良く見えるように自分の方へ向かせる。 自分が好きで恥らっている姿を隠すなんて、そんな勿体無い事させてやるものか。 まったく、表情のひとつひとつが愛しいのだと思っていること、言葉にしなければ分からないようだ。 そう言ったところは、少々子供のようかもしれない。には、絶対に言わないが。

『こうなるのは全部、相手がおれだから、なんだろ?』

困ったような揺れる瞳はきらきらと潤う。 触れたら一粒涙が落ちてしまいそうなそこに、ゾロは優しく口付けた。

だから惹かれ、だから愛した。だから傍に居たいと思い、これからも傍に居る事を願っている。 だからこうやってすぐ触れられる距離に居ればそれで良い。 自分を想ってくれているのなら今はそれで十分だ。 もしそれ以上の表現を彼女からしたいと望むなら、それまでは自分が柄じゃない愛の言葉を唱えよう。 正面から「好き」だと言って貰える日が来るまで。








恋着コンクラーベ
(クソコックほど、巧くは言えないが)
2011/08/22



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恵さま!リクエスト有難う御座いました! なんだかんだと仕上がりが凄く遅くなってしまってごめんなさいぃぃぃぃ! えと、今回はゾロが引っ張ってくれる感じになりました^^ 彼は恋愛のテクニックとかないけど、結果的には上手に手を引いてくれそうです。 ぶっきらぼうだけど全力で愛してくれるって素敵ですよね!!
ではでは、リクエスト有難う御座いました。これからも宜しくお願いします!